ボケの始まり

 天気の神様が何をトチ狂ったのか?と思うほどのこの猛暑も漸くピークを
過ぎ、微かながら秋の気配が感じられる気配がするようなって来た。そう、
持って生まれた旅好きの心がくすぐられる季節でもある。
 先日、旅先のとあるパーキングエリアでのこと。キョロキョロと手洗所を
探しつつ歩く私に突然の呼び声が。「おい、○○(私の本名、それも姓では
なく名)、○○やないか!?」見ればベンチから腰を上げ、ゆっくりと此方
に近づいて来る同年代か、やや年上に見える初老の紳士。半身が多少不自由
らしく、杖をつきながらも笑顔を湛えて居る。
 うん!?私はこの人を全く知らない。老朽化した我が脳内データベースの
何処にもこの顔は存在しないのだ・・・マズー(゜Å ゜)
 娘であろうか、孫であろうか幼い女の子を連れたこの紳士はほどなく呆然
と立ち尽くした私の前で立止まり握手を求めてきた。(誰やねんこの人?)
必死で思い出そうとする私の脳内などお構いなしの様子で「ホンマ久しぶり
やなぁ、元気にしとったか?」「あ、はぁ・・・元気だけが取柄で。」(もう
アカンがな、え~い此処は適当に合わせとけ)相手の気分を害さぬよう取繕い
ながら数分の月並みな世間話を無事に終えた別れ際、「そや、オマエの番号
教えといてくれ、今度一杯やろぅや。ワシがオマエの携帯鳴らすから。」と
電話番号を交換しても依然として思い出せない。

 斯様な中、別れの挨拶を終え車中の人となった彼を見送りつつ(呆けたなぁ、
しかし今回はシャレにならん危機的状況やがな)との強い思いの所為か、其処で
突然目が覚めた。夜も白々と明け始めた5時半頃だった。
 な、なんちゅー夢じゃ!?しかし笑って済ませる訳には行かない。近い未来、
本当にこんなことが起こりそうな予感に恐怖している。それにしても夢の中とは
言え、あの紳士は一体誰だったのだろう???

(5.9.11記)

コメント

タイトルとURLをコピーしました