なんでケツ触るんじゃぁぁ!!?

 此度知人のカメラマンが検査入院すると聞き、遥か昔の話を思い出してしまった。生まれて
この方、さほど健康に気を遣っていた訳でもないのだが、親に感謝すべきかこの歳になるまで
大病には御縁がなく、怪我以外での長期入院経験がない。
 頃は昭和から平成に移り行こうかと言う時代だった。誠にお恥ずかしい次第なのだが業務中
全くの不注意で負傷してしまい長期の入院を余儀なくされてしまったことがあった。病棟とは
言えど外科はなんとなく雰囲気も明るく、同室の人々とも簡単に打ち解け若い患者も多かった
所為か病室には冗談とエロ話が毎日のように飛び交っていた。
 ただその病室はベッド間の距離が異様に近い。何気に天井を目を向けると使用されていない
カーテンレールが見えたのだが、元々は4床をカーテンで仕切ることになっていたようだ。
 4人部屋に6人を詰め込むのだからぎゅうぎゅうの状態であったことに間違いはない。元来
存在するはずのカーテンによるプライバシーなど当然確保出来るはずもなく、口の悪い人達は
(実はワタシもその一人なのだがw)「○○野戦病院」などと言う渾名を勝手に付けて呼び、
「(ある地名)の野戦病院」の話題が出ると「あ~○○病院なぁ、確かにぎゅうぎゅう詰めで
狭いわな。」などという会話が飛び交い、地元では結構有名な話だった。
 そんな中ある日のこと。毎朝何時ものように若い看護婦さん(現在の看護師さん)が血圧を
測定に来るのだが、その異様に近い隣のベッドで測定している。眼前にはふくよかでご立派な
ケツ・・・これはもう触らんワケには、と当時はマダマダ若く、血気盛んなワタシの手が脳の
指令を待たずに動いてしまった。
「きゃあっ!!?」の悲鳴(思えば点滴や注射でなくて良かったねぇ。今なら即刻通報されて
病室に警察官が雪崩込んで来たことだろう。ある意味おおらかでイイ時代だったね😜)と次の
瞬間、振り向きざま持っていたカルテのバインダーを思いっきりワタシの脳天へ。それも平面
でなしに角の金属部分でゴキーン。

 思わず「痛い!血が出た!!」と叫ぶと件の看護婦さん「1階の外来へ行って診て貰ぅて
きぃ!」実際に血が出て大きなタンコブが出来ていたのだが、そんなんみっともなくて行け
ませんがなw
 これで実際に外来まで行ったとする。まぁ、こんなハナシになるだろう。
「大きなたんこぶと出血ですね。どうされたんですか?」
「実は血圧測ってる看護婦のケツ触ってしまい、バインダーの角で殴られたんですよ。」
 おそらく医師、看護婦オマケに周囲の患者からも好奇と嘲りの眼が向くことだったろう。
(実はこの被害者?の看護婦さん自身が後で血止めと消毒液を持って処置しに来てくれた。
こんな悪さしたエロオヤヂに対し、優しさと消毒液がそれはもう沁みることw)
 それ以来、動けるようになってからは松葉杖をつきながら夜な夜な病棟を抜け出し近所の
焼鳥屋で一杯やって帰り、婦長(当時)に見つかって「酒臭いやないの!」などと怒られた
こと数度。なんともまぁ札付きのド不良患者だったことには違いない。
 入院生活も2ヶ月を超えたある日の夕方、回診を終え医師と看護婦が退出した直後「お~
行った行った、さぁやろうぜ。」と当時出始めであった紙パックの清酒を取り出し、まさに
紙コップに注ごうとしたその瞬間「忘れものぉ。」と一人の看護婦が・・・右手に酒パック、
左手に紙コップのワタシと鉢合わせ・・・マズー(゜Å ゜) 最早後の祭りだったのだ。
 その結果として翌朝の強制退院。監督署から呼び出され「労災で入院した患者が不良行為
で強制退院になったのは貴方が初めてです。(野戦病院め、監督署にチクりやがった😅)」
との大目玉を食い、上司からは怒られ・・・もう二度と入院生活はゴメンです。

 「なぜ山に登るのだ?」
 「其処に山があるからだ。」

 「なんでケツ触るんじゃぁ!!?」
 「其処にケツがあるからやん🤪」

(6.7.12記)

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